ワイキキビーチの浸食問題
皆さんも、ワイキキビーチの砂は自然の物でないという話しを聞いたことがあるかもしれません。それどころか、近年、ワイキキビーチの砂の浸食が深刻化し、問題になっています。
ハワイ大学などの調査では、毎年20㎝から30㎝ずつ浸食しているそうで、数年ぶりにハワイを訪れた旅行者は狭くなった砂浜に驚かれるかもしれません。
実はワイキキビーチの浸食は何十年も前から問題視されており、1939年以来 80年近くにわたり、砂の補充工事が十数回は行われてきました。ハワイ州の土地・天然資源管理局の記録によると、総合で23万立方メートルの砂が補充されたそうです。
2015年にはワイキキビーチの修復と保護を目的に「ワイキキビーチ特別地区改善協会」がホノルル市の条例により発足しました。
40年前に人命救助のために命を落とした伝説のサーファー、エディ・アイカウの兄であり同じくサーファーのクライド・アイカウも、その会員の一人です。昨年 12月の会議で、アイカウはワイキキビーチの中でもとくにクヒオ海岸の浸食の深刻さを警告し、保護を訴えました。
それを受け、昨年12月半ばにホノルル市は浸食対策の緊急プロジェクトに乗りだしました。
砂浜の浸食でコンクリートブロックが露出していたエリアに、砂をつめた「サンドマットレス」が 26メートルにわたり手作業で敷かれました。
厚さ 15センチのポリプロピレン製のサンドマットレスは、一つの長さが 3.65メートル、幅が 30センチのもので、砂浜から陸地にかけて埋められ、その上に砂が盛られました。
資金には「ワイキキビーチ特別地区改善協会」から寄付された 3千万ドルが運用されました。
サンドマットレスが埋設されたのはクヒオビーチのフラマウンドの下、1940年代に建てられ後に取り壊されたバー「ワイキキタバーン」の跡地で、4年ほど前からコンクリートの基盤がむき出しになり、砂の下の粘土の土壌まで浸食されかけていました。
サンドマットレスには 10年から20年の耐久性がありますが、あくまでも応急的な処置です。浸食を防ぐ長期的な解決策として、海岸から沖に向かって 12メートルにわたる突堤(防砂堤)の建設が計画されています。過去の突堤が 2012年の砂の補充工事のときに 2つ取り除かれたことが、クヒオビーチの浸食を深刻化させたとアイカウも指摘しています。
以前の突堤跡に新しい突堤を建造し、海岸の砂を保護する囲われた砂のエリアを形成する構想です。
くじら倶楽部では、後世の為にもきれいな海と自然を出来るだけ守ることができればと願っています。